ダイバーシティ・マネジメント 第1回 Diversity Not Equal Political Correctness①

前回ご報告のとおり、大学の無料講座を取りはじめました。

コースは「ダイバーシティ・マネジメント」。

クラスは週1回の全6回、修了するとサーティフィケート(終了証)がもらえます。
サーティフィケートは履歴書にも書ける立派な資格です。

久々の授業、すごく楽しかったです!
行ってよかった、やっぱり学校好き♪

以下、長くなりますが詳細書いていきます。
ご興味あれば、ぜひご一読お願いします!


昨日は
Diversity Not Equal Political Correctness
(多様性と差別禁止は同じにあらず)の第1回目でした。


3つの質問

まず、先生から3つのクイズが出て
各自ノートに分かる範囲で自分の答えを書きました。

1. What is meant by the term "cultural intelligence"? Give an example.

2. Define the term "Diversity". What is the difference between primary and secondary characteristics of diversity?

3. Name and explain at least 2 workforce diversity benefits.


先生は「今日は答えられなくてもいいです。
このサーティフィケートを取るころには答えられるようになっています。」
とのこと。


Class Expectation

次に先生が自分の自己紹介をしたのちに
以下の3つに基づいて、各自が自己紹介をしました。

1. Name

2. Reason for taking class
    - Career Advantage
    - General Knowledge
    - Certificate/ Other

3. What one thing/ result


学生は25人くらい。

ただの自己紹介ではなくて
各自のバックグラウンドや経験を知ることも
ダイバーシティの学びにつながる仕組みになっているかんじ。

みんなの話を聞くのがすごく興味深かった。
先生がいい具合に相槌や、興味深い質問を振ってくる。

みんなよくしゃべる、よくしゃべる(笑)


わたしは唯一の日本人。
アジア人は他にフィリピン系が1人と香港系が1人でした。
若いエクアドル人夫婦もいました。

南サンディエゴという土地柄、メキシコ系が多数、
でも各自のバックグラウンドはさまざま。


メキシコ系の人たちで印象的だったのは
「わたしが家族で最初に大学に行って、マネージャーになった」とか
「わたしの娘は家族で最初に大学に行って、しかも奨学金ももらった」という人。

日常生活で体験する差別を乗り切る術を知りたくて受講している人。

自分はメキシコ出身だが、子どもはアメリカ生まれのメキシコ系で
そんな環境でダイバーシティのことをしっかり知っておきたかった、という人。

人材派遣の仕事をしていて、仕事に有利だから受講しているという人。

あるいは、黒人男性を結婚して別れてしまったが
二人でいるときの社会からの差別が激しくて
それに対する答えがほしくて受講することに決めた、というメキシコ系女性。


「樽のなかのカニ・」 クラブ・メンタリティ

わたしにとって新鮮だったのは
サウスカロライナ出身の黒人女性の話。

黒人の友人はいるけど、少数派だし
しかもセンシティブな話題を話すチャンスはほとんどなかったから。

彼女は白人嫌いのコミュニティで育って
周りの人同様、昔は白人のことが嫌いだったけど
サンディエゴに移り住んでいろいろ考えが変わったという話。


ここで先生が「Crabs in the Barrel(樽のなかのカニ)って聞いたことありますか?」
Crab mentalityとも言われるそうなのですが。


樽のなかのカニ

「樽のなかのカニ」は、社会経済レベルが同じコミュニティのなかで
一人がよりよい環境を求めてコミュニティを抜けだそうとするとき
周りの仲間が足をひっぱって樽から出さないように働きかけることです。

実際、この黒人女性もサウスカロライナから引っ越すときは
周りから反対を受けたそうです。

同時に他のメキシカンのクラスメイトも
自分のその経験があると発言していました。

メキシコ系や黒人系コミュニティで言われる話のようですが
実際にはどのコミュニティにもよくある現象とのこと。


先生の、どうしてクラブ・メンタリティが起きるのか?という問いかけに対して
"Miserable likes company(哀れな立場の者は仲間をほしがるから)"とか
"Resemble of what you are not doing well
(仲間がコミュニティから出て行くことは
自分の生活がうまくやっていないことを思い知らされることになるから)"
"Insecurity (不安だから)"というものがありました。


これ、おそらく日本にも存在する現象だと想像しています。
これが日本社会のよい変化への足かせになっている可能性はある。

これは今後発見して、指摘していきたいところ。

わたしもある意味、樽から出たカニかもしれないけど
幸いなことに足を引っ張られることはなかったような気がする。
気づいてなかっただけなのかな?

幸運なことに、もともと樽にいなかったという可能性もある。


日本は、かっこいい
そして、わたしの自己紹介。
名前を言って、"I am from Japan"というと
近所のクラスメイトから"Cool (かっこいい)"の声が漏れた。

久しぶりに日本人でよかった、proud to be Japaneseな瞬間。

2009年からサンディエゴ在住、日系企業のマキラドーラで働いていて
サンディエゴとティファナを行ったり来たりしていること、
同僚も日本人・アメリカ人・メキシコ人がいること。

大学で異文化コミュニケーションを学んだので
この手のことに関心があること、

日本はアメリカほどに多様性はないけれど
最近になってダイバーシティについて語られる機会が増えたので
この授業で学んだことを、日本社会に還元したい、と説明。


先生からは以前にアメリカに来たことはあったか聞かれ
2001年に1年間SDSUで勉強したことを話した。

また異文化コミュニケーションはどこで学んだのかと聞かれたので
日本の大学で習ったことを説明。


先生がシェアしてくれた話は
サンディエゴのシティハイツというエリアの
カンボジア系住民は、キリスト教徒が迫害されて移民してきていて
韓国系の団体が保護活動をしていること。

今後の参考のためにと
日本からもこのコミュニティに視察にきていたとのこと。


最後に先生からは
クラスへのインプット(意見や考えをシェアすることによる貢献)を
期待しているよ、と言われました。


宿題

授業の最後は宿題についての説明。
ダイバーシティは感情的に理解しなければいけないので
感情的になってもらいます、とのこと。

宿題の説明の前に、先生が自分の体験談を2つ語ってくれました。
(先生は黒人、60代です)

①1960年代、まだ子どものころ。
軍人上がりの父親と、自分と弟と妹の4人で
ミズーリ州の州道をドライブしていたときのこと。

休憩しようということになり、ミルクシェイクなどで有名な
ファストフードのDairy Queenに立ち寄ることに。

子どもだった先生はおやつの時間にウキウキ。

駐車場に車を停めて、父親は妹をだっこして、弟の手を引き
自分は父親の隣を歩いてお店に向かった。

お店には白人女性の店員がいて
こちらのほうを見て、ムカムカするといった表情をしていた。

さらにもう少しお店に近づくと、その店員が
"We do not serve colored(有色人種には売りません)"

父親は"OK, thank you."と言って立ち去った。
自分は、食べたかったおやつにありつけなかったことにがっかりして
同時に、この女性はどうしてこんな醜い顔をするんだと思って
振りかえってその女性を見ていた。

車の中に戻って、父親が
「息子よ、差別という言葉を知っているか?
今、差別を経験したんだよ」

「この肌の色のせいで??」「そうだ」

こうして産まれてはじめて自分が差別されたことを知った。


②小学校の頃、政府の政策で
一部の都市部の有色人種の学生が
郊外の白人の多い地域にバスで通うというシステムがあった。

自分のバスに乗って郊外の学校に通っていたが
バスには石を投げられ、Nigger(黒人に対する蔑称)と罵られた。

白人多数と黒人6人くらいの体育のクラスでのこと。
軍人上がりの体育教師はMr. Woof(犬の鳴き声ワンワンみたいに聞こえる)
という名前だった。

授業中に冗談で"Woof Woof (ワンワン)"と言ったら
思いのほか大きな声が出てしまい、先生に聞かれてしまう。

体育教師は、子どもだった先生をつかんで
壁に叩きつけた。

先生は当時を振りかえって
黒人だったからだとは思いたくなかったけど
その後長いこと背中の痛みに苦しんだとのこと。

そのとき両親はとくに何のアクションも起こさなかったけど
これが今の世の中だったなら、今ごろ(裁判で勝って損害賠償をもらって)
家を数軒持って、こんなところで授業をしてみんなに会うこともなかっただろうと
冗談で話していました。


で、宿題の中身。

Trauma from Diversity!

Share your own experience where you were either the recipient of a negative experience, or witness to one, as a result of your race, ethnicity, sexual orientation, religious preference, age, physical or mental disability.

White a three-paragraph summary that answers the following questions;

1. Describe the situation (who was involved.. when did it happen... where did it happen)

2. How did you respond.. what action did you take?

3. How would you handle a similar situation if it were to happen today?


Be prepared to share your experience in class next week...


ダイバーシティによるトラウマについて。
人種・民族・性的嗜好・宗教・年齢・身体や精神の障害などを理由に
経験・目撃したネガティブな体験について3段落で書きましょう、というもの。


わたしの体験については次週発表します。


授業のあとで

①近くの席のフィリピン系の女性が話しかけてきた。
「日本のどのあたりの出身?わたしの夫はフライトアテンダントだったから
よく日本に行っていたのよ。成田に行ってたと言っていたわ。」

②エクアドルの若い夫婦の女性のほうが話しかけてきた。

「この近くの住んでるの?実は日本文化に興味があって
日本語を教えてほしいって思ってるんだけど」

話してみると同じ通りに住んでいることがわかって
次回のクラスのときに連絡先を交換することにした。

わたしもエクアドル出身の友人はいないし
友達になれたら嬉しいなと思う。

だんなさんのほうは去年日本に行ったことがあるそうで
来年も行く予定だとか。

住んでいるアパートも日本人駐在員が住むレベルだし
日本にも遊びにいったらしく、どうやらかなり裕福な人たちみたい。

③他の学生からも"Bye May"と言われて
クラスで唯一の日本人ということでかなり目立っていたようすです。


というわけで、来週の授業もお楽しみに!!



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