TOPPOINT 5月号 本の紹介と感想

TOPPOINT5月号の10冊はこちら。
書籍紹介はTOPPOINTライブラリーより引用、→印がわたしの感想。)



「第三の産業革命」

インターネットの商用化から約20年。その普及に伴い、経済、産業、そして人々の暮らし方は大きく変わった。インターネットによる各種の変化を指して、「第3の産業革命」といわれる。では、今後、それはどこに向かうのだろう? 大学教授、起業家、ソフトウェア開発者ら世界のエキスパートたちが、インターネットがもたらす変化の本質、行方を解き明かす。

→「ファブラボ」ネット上で設計図などを交換、3Dプリンターは将来的にデータ入力だけでスマホ等ハードウェアがつくれるように、未来に必要な技術は「モノを消す」技術、モノはデジタルとフィジカルを行き来する新しい存在に。



「「世界の警察官」をやめたアメリカ」

「アメリカは世界の警察官ではない」。2013年9月のオバマ大統領の発言により、国際社会における同国の影響力の低下が鮮明になった。中東でのイスラム国の台頭、欧州のウクライナ問題、中国の強引な海洋進出。これら「警察不在」の事態を招いたと言っても過言ではない、大統領の「警察官放棄」発言。その経緯を示すとともに、現在そして今後の世界を読み解く。

→オバマ政権の「オフショア・バランサー」構想では、世界各地に配備させていた米軍を後方に撤退させても遠隔操作で地域の安全を維持できると考えていたが、実際は前線から米軍がいなくなれば抑止力は失われ、地域の防衛体制に悪影響が出る。



パーソナルデータの衝撃

今日、インターネットや小売店の会員カードの利用などで、私たちは無意識のうちに関心事、友人、購買履歴といった「パーソナルデータ(個人に関する情報)」を企業に差し出している。“今世紀最大の経営資源”といわれる個人情報。これを企業はどう利用しているのか?消費者が留意すべきこととは? パーソナルデータにおける先端事例、問題点等について説く。

→「パーソナルデータ」購買履歴、検索履歴、位置情報→興味を引く広告の配信。グーグル売上590億ドル、フェイスブック115億。「クォンティファイド・セルフ(QS)」:パーソナルデータを生活習慣の見直し等に活用する概念。レシート家計簿アプリ「Zaim」、遺伝子分析サービス「23 and Me」。遺伝情報は医療保険や生命保険に加入できなくなる恐れのある高いモラルが求められる情報。米国では「遺伝情報差別禁止法」があるが日本では未整備。



オープン・イノベーションの教科書

かつて「Japan as Number One」と評された日本の製造業も今や、苦戦を強いられている。そんな中、注目したいのが、必要に応じて外部の知見を活かす「オープン・イノベーション」だ。フィリップス、P&Gを筆頭に、国内外の企業が導入し、成果を上げつつある。この新たな研究開発の手法について、“教科書”の名の通り、定義から具体的な活用法まで詳しく紹介。

TOPPOINTライブラリー5月号にて既読。



「お客様を買う気にさせる「価値」の見つけ方」

新商品開発などの際、まずデータを分析し、問題点を明らかにするところから始めがち。だが、消費者の「隠れたニーズ」を探り当てる上で役立つのは、商品の新しい“価値”を見つけること。データは不要。こう述べる博報堂のコンサルタントが、「相対比較法」(類似商品・サービスと比較する)など、飛び抜けた価値を見つけるための3つのアプローチ法を解説する。

→相対比較法(缶詰vs冷凍食品)、エピソード分析法(鍋体験)、こだわり抽出法(ぺんてる)



「100%確実に売上がアップする最強の仕組み」

「この本の目的はたった1つ。あなたのネット通販事業を『大成功』させること」。冒頭、かく語る著者は長年、様々なネット広告キャンペーンを手がけてきた。本書では味の素、花王など大手から中小まで、多くの会社で実績を上げた手法を初公開! ネット広告のレスポンス率、申込率を上げる方法等、費用対効果を確実に上げるノウハウを惜しみなく披露する。

→ネット広告ノウハウ。「無料モニター」で見込客を集め、お試しセットにセールスレターを同梱し「既存客」に、リピート購入してもらい「固定客」に。
特定のターゲットを狙ったキャッチコピー、商品の写真を広告に使う、申込アイコンは緑色、申込フォーム手前で「追伸」入れて背中押す、レスポンス率上げるには広告原稿とランディングページをいくつかつくり、テストを行う、「専用フォローメール」と「ランディングページ」で、ワンクリックで申込できる仕組み。



「0ベース思考」

一般常識、偏った先入観、周囲の意見…。こうしたバイアスから自由になり、本質に切り込む思考法、「0ベース思考」を、気鋭の経済学者が紹介。「『知らない』を言えれば、合理的に考えられる」「問題設定を変えて、すごい答えを見つける」等々、ゼロベースで考え、問題を解決するためのヒントが、ストーリー仕立てで語られる。世界23カ国で刊行された話題作。

→何かを「知らない」ってことを恥ずかしく思わないこと。予測が外れがちな人は「独断的」、何が本当かどうか知らないのに本当だと思い込むような人。問題を自分なりに捉え直す。



「交渉に使える CIA流嘘を見抜くテクニック」

「会社の今後の見通しは明るい」と語る上司、「宿題をやった」と言う子供。こうした言葉は信用できるのか? 元CIA捜査官が、長年磨き上げてきた“噓の見破り方”を伝授する。「質問をオウム返しにする」「過度に詳しい返事をする」「手を顔にやる」等、噓をつく人の特徴が具体的に示される。ビジネスの場をはじめ、家族や政治家の噓などを見抜く上でも有用だ。

→考える時間を稼ぐために質問をオウム返し、攻撃的な言葉を使って質問者を糾弾、厳密あるいは限定的な答え、詳細情報を大量に話す。突然礼儀正しくなる、目や口を覆う、目を閉じる、咳払い・つばを飲み込む、顔や頭部に手をやる、身づくろい、汗をぬぐう。



「日本人はなぜ水に流したがるのか」

過ぎたことを咎めず、無かったことにする。日本人の「水に流す」行動様式は、私たちが暮らす上ではよき潤滑油となるが、国際社会では問題が多い。近隣諸国との歴史認識を巡るトラブルも、これでは解決は難しい。本書は、この日本人独特の、水に流す心情を考察したもの。“水”との歴史的、文化的関わりを軸に日本人の精神風土を探った、ユニークな文化論だ。

→国際社会で「水に流す」心情がトラブルの基に。日本の川は流れが早く、浄化作用のあるゴミ捨て場だった。災害に強い性格、諦めの良さ、身変わりの早さ。「住む」「澄む」「済む」は同義:「濁り動いているものが清らかになり、そしえ静止すること」
本来日本教育の根幹は「外に出しても恥ずかしくない子」「人様に迷惑をかけない子」だったが、村落共同体(世間体)が強くなってくると「閉鎖的人間関係」が働き、外の人間に対して無関心でいられるようになった。



「イスラームの日常世界」

毎日のように、マスコミが報じるイスラーム関連のニュース。それらはテロ、紛争など、圧倒的に非日常的なものばかりだ。当然ながら、そうした報道の裏側には、人々の日常世界がある。弱者には無条件に手を差し伸べる、「ラーハ(安息)」の時間を何より大切にする…。長年、実情を見てきた著者が、人間観、生き方をはじめ、彼らの知られざる姿を明らかにする。

→イスラムは政治・経済・社会・文化に関わる宗教以上の存在。イスラムの生活はショグル(仕事=必要悪)、ラアブ(遊び=子どものすること)、ラーハ(休息・安息=最も重要=家族や友人と過ごす、祈り、眠り、勉強、瞑想、ぼんやり)。イスラム世界は古代ギリシャ・ローマ文明の遺産をアラビア語に翻訳し西洋に伝えた。西洋にとってイスラムは栄光まぶしく、脅威でもあった→十字軍を送り込んだ。




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