パーソナルブレイン社のTOPPOINT

月刊誌「TOPPOINT」

今読んでる本

考えながら走る グローバルキャリアを磨く「5つの力」
秋山ゆかり

外資大手を渡ってきた秋山さんの著書。
秋山さんの過去の体験と教訓がいろいろ書かれていますが、わたしは日経ビジネスの連載記事が好きです。

日経ビジネス 秋山ゆかりの女性キャリアアップ論
最新記事は質問力についてのもので、読み応えアリ。

で、この本で紹介されていたのが

パーソナルブレイン社のTOPPOINTという雑誌。

日本で毎月100冊くらい出ている新刊から10冊を厳選して、1冊4ページに要約している月刊誌。

さらには会員向けのネットライブラリーにもアクセスできて、過去の要約記事1000件以上から、月に10件まで無料で閲覧できる。

要約記事のサンプルはこちら


新刊10冊を求めて読む時間はないけれど、要約記事だったら読むだろうし、自分では買わない本の内容も分かって、利用価値はかなりある。

雑誌の海外発送サービスもあるので早速購読スタート。雑誌は届くのに時間がかかるけど、ライブラリーには早速アクセスできるから楽しんでいます。

ビジネス書が割合としては多いけど、中には五木寛之さんの本が含まれていたり。


ライブラリーから読んだ要約記事はこちらの2冊。
以下は得た情報と感想を自分の言葉でまとめたものです。



ハラールマーケット最前線
佐々木良昭

ムスリム観光客の受入整備は日本の観光業界でも対応が始まっていて、興味があったので読んでみることに。こちらの資料も同時参照。

世界イスラム教徒は16億人。2030年には22億人(世界の1/4)になる。アラブ・中近東・インドネシアのほか、タイや欧州にも存在する。アセアンの4割はイスラム。イスラム諸国は平均年齢が若い。


・ ハラール(HALAL):イスラム法で許される行為や食べ物
・ ハラーム(HARAM):イスラム法で禁じられた行為や食べ物

判断の根拠は聖典「コーラン」にあるが、ハラールか否かを判定する最も権威ある機関はエジプトのアズハル大学だとされている。

ハラール関連の食品・化粧品・医療品の市場規模は2兆1000億ドル(おそらく世界で)。日本市場は9.2億ドル(=1100億円)。

日本にはハラール認証機関が数十あるが、日本国内統一の基準がないため認証機関ごとに差があり、認証に要する費用もまちまち。毎年更新料が必要な機関もある。日本の認証は日本国内対象で、輸出を意識する場合は各国のハラール認証が必要。

アルコールは豚肉に比べて戒律が緩い。当初アルコールに関しては「礼拝中の飲酒の禁止」だったが「飲酒の絶対禁止(ハラーム)」になった歴史がある。

寛容度も国や地域により異なる。トルコ、シリア、エジプトはスーパーマーケットでも酒が販売されているが、サウジアラビアでは酒の国内持ち込みも、ふるまうことも厳禁。

食べることが許されている牛肉・羊肉・鶏肉も飼育方法・と殺方法に厳格なルールがある。

本書で紹介されていた日本のハラル対応の例
・ 京都文化交流コンベンションセンター:事業者対象の勉強会を主催
・ ホテルグランヴィア京都:3点セット「お祈り用カーペット」「聖典コーラン」
 「メッカの方向を示すキブラサイン」を室内に用意
・ 幕張メッセ&イオンモール&シティホテル:イスラム教徒用礼拝室、3点セット「礼拝用マット」「メッカの方向を示すサイン」「礼拝の時間を記したカレンダー」
・ ちば醤油(株):ハラールこいくち醤油。同製品の認証機関の見解「醸造中に発生するアルコールはハラール。保存用に添加するアルコールはNG。全体アルコール含有量は1%未満でなくてはならない。

要約記事は簡略化して更なる内容の充実がほしかったと感じた。



大中華圏 ネットワーク型世界観から中国の本質に迫る
寺島実郎

日本は周囲との関係を国単位で見がち。英語で"Greater China"と呼ばれる華人・華僑圏を含む「大中華圏」という単位で捉えていくことが日本が世界を正しく理解するカギとなる。

経済的に見ると、香港・台湾・シンガポールの資本と技術で、中国の経済は発展してきた。世界GDPの8.4%を日本、10.4%を中国が占める。香港・シンガポール・台湾を加えた大中華圏を見ると、その割合は11.8%で、日本の1.4倍になる。

PPP(購買力平価ベース、実際の通貨の購買力で調整後の値)でみると、日本は6.4%、大中華圏18.4%で日本の約3倍(米国は21.6%)。大中華圏が米国を越えて世界一のの経済規模になる日も近い。

幸いこれまで政治思想が異なっていた大中華圏の各国だが、ここ数年中国の指導者たちも「中華民族」という言葉を頻発している。宋文洲氏の「尖閣諸島問題は華人社会に共通テーマをもたらした」と指摘している。

わたし自身、日本の南京大虐殺の歴史を華人全体への中傷と結びつけた、日本映画「貞子」の不買広告が台湾のネットで流通しているのを最近見てしまった(正直衝撃を受けたけど、台湾の家族からは「不肖な商売人のやることだから気にしないで」と言っていた)。

中国の世界メディア政策は無視できない。中国国営放送局CCTVは世界に向けて中国語・英語・フランス語・スペイン語・アラビア語・ロシア語で24時間放送を行っている。中国はアジア・アフリカ各地に無償でパラボラアンテナを寄贈し、CCTVが見られるエリアが急激に拡大、結果急速に親中国的になっている。

同放送局を観る6000万人に対して、尖閣諸島の中国に都合のよい、日本に都合の悪い特別番組を流していた。日本は近隣の国と揉め事ばかりを起こす厄介な国というイメージ形成につながっている。日本も非難するだけではなく、自身も対外広報を賢く行っていく必要があるのは言うまでもない。尖閣諸島を日中間の問題と捉えるのは危険。

わたしの肌感覚では、未だ中国と他の華人との精神的隔たりはあるものの、中華文化へのアイデンティティは彼らに共通するもので今後より一層深まっていくことが想像できる。北京五輪や上海万博の「中華民族の歴史的成果」という言葉に華人はグッと来ると考えていいように思う。



本が好きだけど多読は現実的ではないビジネスパーソンにもってこいの雑誌。
プラス、海外に住んでいて和書が手に入りにくいわたしにはさらに魅力的に映ります♪

このサービスの難点は、ライブラリーの使い方、特に既読のカウントの方法がいまいち分からない点。PDF記事を開いたり閉じたりしてしまったためか、2件読んだところで月間購読数の10件に達してしまったのが残念。

現在同社に問い合わせをしているところ。
記事を読むのを楽しみにしているので、残り8件も読めるようになるといいなぁ。
アメリカ並みの柔軟な対応を期待しています。




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