ダイバーシティ・マネジメント 第4回 日本文化を尊重しつつ、文化の足かせを乗り越えて国際競争力を出していく方法



ダイバーシティマネジメントの前回のクラスは先生の都合でキャンセルになりました。

代わりに第2回の内容について、先生からパワポ資料を送っていただいたので
もう少し深く書いてみようと思います。(Van Keith先生に感謝)

日本人って、自分たちは世界的に見てどうなんだろうということに興味があるんだけど、自身の文化やコミュニケーションの傾向を客観的に把握したうえで、自身の強みを理解すると同時に、「文化的足かせ」を乗り越えて今後いかに国際競争力を出していくかを考えるべき。

日本文化を重んじる、保存することに価値を置かれがちだれど、国際ビジネスのときはフレキシブルに適応するのが成功への道だと思う。保存すべき部分と、フレキシブルであるべき部分について、わたしの考えを最後に書きます。


まずご紹介したいのはこれ。「各国文化の人たちの、アメリカ人に対する印象」


国は上からカナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、ヨルダン、オランダ、ロシア、スペイン、UKとあります。

そして、カテゴリは「よく働く」「独創的・発明が得意」「正直」「貪欲」「無礼」の5つ。
赤い部分が各国で評価の低かったカテゴリです。

例えば、ヨルダンではアメリカ人は失礼だと考えられている(64%)。
一方でドイツでは失礼だとは考えられていない(12%)

中国ではアメリカ人はあまり働かないと思われている(44%)。
一方でその他の国ではアメリカ人は割りとよく働くと思われている様子。

どうしてこういうことが起こるのか?


理由のひとつは、各文化において重んじられる価値観が違うから。

違う言い方をすると、「よく働く」とか「正直」とか「無礼」の定義が
各国文化によって大きく異なる、ということです。

二つめは、各国国内でアメリカやアメリカ人の情報がどの程度正しく知られているか
というのも気になる点。

そして敢えて授業中に言わなかったけど
アメリカが政治的・経済的に海外でどういった活動をしているか、というのも
アメリカ人の印象を大きく左右する要因にはなると思います。

日本人が海外でどう見られているか、というデータがあれば面白いですよね。
これ、今度ネットで探してみます。



つぎにこれ。「言語の壁の乗り越え方」

アメリカには英語を母国語としない人がたくさんいて(わたしもその一人ですが)
そういった人たちと職場や日常生活でやりとりすることがあります。

日本でもこれからますます留学生や外国人労働者が増えるとき
この課題はかならず直面します。

言語の壁の乗り越え方としては

・会話能力に欠ける、などと早急に判断しない
・はっきりと発音し、ゆっくり話す
・専門用語やスラングは使わない
・相手に話す時間を十分に与える
・必要であれば通訳を使う

わたしの経験でも、日本人でもアメリカ人でも
外国語ができる人や外国語を話す苦労を知っている人
外国語が話せなくても相手の立場に立てる人は
これができる人が多いと感じます。


そして、おもしろかったのがこれ。「文化的思考パターン(Cultural Dimension)」

個人主義・集団主義
平等主義・階層主義
実績志向
未来志向
不確実性回避

これらのカテゴリは文化によって大きく異なるんです。
具体的に見ていくと・・・



社会における個人主義と集団主義

上にいけばいくほど、社会における集団主義傾向が強い
下にいけばいくほど、社会における個人主義傾向が強い

日本は真ん中くらい(43)。

日本は集団主義だ、なんてよく言うけれど
他のアジアの国やメキシコに比べるとそうでもないことが分かる。

日本は集団主義だ、というのは
個人で存在するときではなくて、団体になったとき。

以下参照!



団体における個人主義と集団主義

上にいけばいくほど、団体における集団主義傾向が強い
下にいけばいくほど、団体における個人主義傾向が強い

日本はダントツの団体集団主義(98)。
グループになると途端に集団主義傾向が強くなる。

ということは、例えば集団で意思決定しようとすると
集団主義がはたらいて、みんなの意見を聞こうとする。

よって、意思決定が遅くなる、ということ。

海外の人が見ると、「意思決定が遅い」
と見られてしまう原因であることを理解する必要がある。

海外の日系企業が白い目で見られていることを付け加えておく。





個人主義傾向の強い文化では・・・

・個人の利益や目的について議論される
・機会や選択が注目される
・集団での意思決定に時間をかけない
・職場外で同僚と時間を過ごすことが少なめ
・ゆるいネットワーク、人間関係も不定期
・効率的に仕事をこなすため直接的なコミュニケーションをとる

集団主義傾向の強い文化では・・・

・集団の利益や目的について議論される
・義務や責任が注目される
・集団での意思決定に時間をかける
・職場外で同僚と過ごす時間が長め
・強いネットワーク、長期的な人間関係
・職場の和を保つため間接的なコミュニケーションをとる





平等主義と階層主義

上にいけばいくほど、階層主義傾向が強い
下にいけばいくほど、平等主義傾向が強い

日本は真ん中のほう(55)だけど
アメリカに住んでるわたしの肌感覚としては
階層主義傾向が強いと激しく感じます。

年齢の差、職業の優劣などで階層が存在する。

一方アメリカは人は人、皆対等に気軽に意見を交換。

一方韓国などは、先日のリターンナッツ事件に見られるように
階層主義傾向が激しい。

わたしの仕事の経験からも、会社の上司もお客様のよう。。
常にどちらが年上かが気になって仕方ない。





平等主義傾向の強い文化では・・・
・意思決定権が分散している
・肩書きや座席位置などは重要視されない
・部下は上司に違う意見をオープンに語る
・部下は上司のミスに対して責任を負わない
・上司に直接的なアプローチができる

階層主義傾向の強い文化では・・・
・意思決定権が集中している
・肩書きや座席位置が非常に重要である
・意見が違うとも部下は上司に従う
・部下は上司のメンツを立てるため、自分が責任を負う
・上司は間に誰か入ってアプローチされる





実績志向

上にいけばいくほど、実績志向が高い
下にいけばいくほど、実績志向が低い

日本はそんなに高くない(52)。
これから海外と仕事する日本人は要注意。

アメリカ人・韓国人から見ると日本人は
形式に囚われがちで、長く残業する割には実績は重要視されない。

一方、メキシコで働いていると
まったくどうして仕事に時間を費やしているのに
何も片付いていないんだ?と文句を言いたくなることも・・・

(ちなみにメキシコは世界一勤務時間が長い国)






実績志向の高い文化では・・・
・人間関係よりも結果を重んじる
・会議や会話で測定可能な目標を明確化し、優先順位をつける
・フィードバックは向上のために必要不可欠と考える
・金銭的メリットを表向きに話す
・個人の責任を示すことに価値を置く
・時間に緊急感をもっており、期限を強調する

実績志向の低い文化では・・・
・結果よりも人間関係を重んじる
・測定可能な目標などはなく、漠然とした目標が語られる
・フィードバックは指摘と捉え、居心地の悪いものと考える
・金銭的メリットについて語られることはなく、語ることは不適切とされる
・忠義心や同情を示すことに価値を置く
・時間にゆるく、期限を強調しすぎることは押し付けがましいと思われる






未来志向

上にいけばいくほど、未来志向が強い
下にいけばいくほど、未来志向が弱い

先のことを考えて仕事をしているのかどうか
などなど、傾向が分かる。

個人的に気になるのは、台湾がやたら低いところにあること。
これは自分でも聞き込み調査をしてみたいところ。


台湾&中国について注目してみると
集団主義のところ以外は近いところにある。

集団主義については政治体制が要因か?






未来志向の強い文化では・・・
・未来の計画やコントロールに重きを置く
・本質的な動機に注目する
・ビジネスにおいて長期計画が語られる
・フレキシブルな言語が用いられる
・長期的なメリットについて語られる
・ビジネスの問題に対して明確なアプローチが好まれる

未来志向の弱い文化では・・・
・現在のビジネスの問題に重きを置く
・外因性の動機に注目する
・ビジネスにおいて長期計画が語られることはあまりない
・堅い言語が用いられる
・短期的なメリットについて語られる
・問題に対して立証済みのルーティーンのやり方が好まれる




ここまでが授業で習った内容。

で、日本人が国際ビジネスの場面で、どう適応すべきかについて。

一個人の日本人が海外の企業で仕事をする場合は
その国の傾向を理解して適応していけばいい。

気になるのは、日本企業が海外企業を相手に競い合う場面。

よく言われるのが、意思決定が遅いということ。

みんなのメンツを立てつつ、意思決定に時間をかけると
ビジネスのスピード自体が落ちるので
グローバルマーケットのスピードに間に合わない。

対策:

・各部署・役割に決定権を与える。
(会議や本社にお伺いを立てる手間隙を解消、報告義務のみとする)
・各部署・個人も諸事情に詳しく正しい意思決定ができる自信があれば
  恐れずに決定をして前に進めていく。
・具体的な数値目標を立て、うまく行かない場合は原因追求、修正も臨機応変に行う。
・一方、何かおかしいと感じたら調べる、再度検討し、変更も臨機応変に対応する。
・会社の利益や活動目的を強調して考える。
・どうしても会議が必要な場合は、議題を明確にして手短に。
・会議前の根回しが不可欠だったらさっさとやってしまう。
・感覚についてうだうだ語らず、客観的データも参考に理論を組みたてて考える。
・時は金なりTime is moneyと社内で理解を一致させ
  実績を生み出さない業務に時間をダラダラと使わない。


コンサルティング業など企業を指導する立場の会社だったらすでにやっていることばかり。
以上の内容を社内研修で導入して、徹底するといいと思う。






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